日経新聞「あすへの話題」 2015年12月9日

来年、日本気象予報士会は設立20周年を迎える。
会員は現在、女性400人を含め約3360名、全気象予報士の35%にあたる。気象予報士会の魅力の1つは、巾広い会員の年齢と職業にあると言えそうだ。年は、8月に女として最年少で合格した13才から90才台の大先輩まで、職業も医者、学校の先生、会社員、落語家、弁護士、公務員、キャスターなど実にさまざまである。年齢の違う異業種の人々が、やっかいでこの上なく興味のつきない「気象」という現象を通して議論を重ね集いながら今日に至っている。
 一か月ほど前、本会女性会員が中心に活動している「サニーエンジェルス」が日本気象学会から奨励賞をいただいた。この会は小さな子供を抱えた若いママさん達に、雲を作る実験などを試みながら、分かり易い気象を伝えようと発足したもので、今では予報士会のなかでも特に華やかで活発、周りの人々の協力を得ながらその活動はうれしくもさらに広がっている。
 日進月歩の気象情報化時代にあって遅れを取らないよう、気象予報士には常に新しい技術の研さんや知識が必要とされるが、間もなく気象予報士会は2つの大きなプロジェクトを発足させようとしている。1つは気象予報士のための技術研さんの制度づくり、もう一つは全国規模での防災に関する出前講座プロジェクトである。これは豪雨など温暖化によるさらに大きな被害が予想される昨今、気象予報士は今まで以上に地域と密着し、命を守る人々の意識や防災活動の普及に努めていかなくてはならないという気持からだ。会員たちの活動はそのほとんどが、自分の仕事をこなしながらのボランティアであり、頭の下がる思いである。
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